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2014.08.21

~はじめてみる、ちひろの世界。~「いわさきちひろ×佐藤卓=展」

Top_tirasi_2


久しぶりに「ちひろ美術館・東京」へ。

“はじめて”というテーマと、佐藤卓さんプロデュース、
しかも“特に子どもたちに届くように”という内容に惹かれて、
観たい!と思った企画展。
(佐藤さんは、「ロッテキシリトールガム」「S&B スパイス&
ハーブシリーズ」などの商品パッケージや、
Eテレ『デザインあ』の総合指導などをしている
グラフィックデザイナー)

新鮮でとても見応えがあった。
特に、ちひろさんの線画を集めた展示室がすばらしくて
これを見られただけで来てよかった!と思った。
(線画は、ちひろさんのイメージからは意外な感じだけれど、
それがよかった!)

ちなみに私はちひろさんの絵が大好きというほどではない。
後ろ姿の子どもの絵など好きなものもあるのだけれど、
どこか寂しげに感じる子どもの表情が、
なんとなくしっくりこない部分があり、
また、勝手なイメージだけれど、
ちひろさんの絵は、大人が遠い日の自分の子ども時代や、
我が子の幼い頃の様子を懐かしんで見るような印象があって、
私はまだいいかなあと思っていた。
ちひろ美術館に来るのも企画展目的のことが多く、
ちひろさんの絵だけをじっくり観たことはなかったと思う。

でも今回の企画展でそのイメージが変わったし、
イメージが変化していく体験が楽しかった!

ということで、さきほど書いた“線画の展示”。
これは「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵」というコーナーの
ひとつで、墨、インク、鉛筆などの線だけで描かれた
小さなスケッチが多い。
でも、例えばヒメジョンの花のふわっとした様子や、
ススキの穂のやわらかな感じ、
ブランコと子どもたちの様子など、
絵を見ていると、光や風、子どもたちの声が
伝わってくるような気持ちになったり、
“杭にかけられた包み”というなにげない絵や、
“鉄条網”の線画には、ハッとさせられるものを感じた。
緻密な絵というのとは少し違う。
対象をしっかり見て、
どのような線で描くとそのものが現れてくるかを
研究している様子。線の豊かさ。
ちひろさんは書家を目指していたこともあるとのこと。
絵画とは違う“線”に対する意識やアプローチがあったの
かもしれないと想像したりもした。

これらの線画は、
普段展示されることがない作品も多いとのこと。
“デザインは美しさやかっこよさではなく、その本質を見極め、
その魅力を人に伝えること”と考えている佐藤さんが、
ちひろさんの線を“おもしろい”と感じて、
そこに光を当てたところがまた、興味深かった。

さらに佐藤さんは、この線画をパターン化して、
「ちひろ×佐藤卓の実験室」のコーナーで
タペストリーとして展示しているのだが、これも素敵だった!
モダンなテキスタイルデザインのようで
それだけ「線」に深みや味わいがあるのかなと思ったり、
“パターン化する”という佐藤さんの視点とアイデアに
「ほー」と思ったり。

また、このちひろさんの線をモチーフに、
来館者(大人も子どもも)に絵を描いてもらう“実験”も面白くて、
(『デザインあ』の中で、“あ”をモチーフに絵を描くのと同じ)
展示してある作品たちを見ながら、
こういう発想は子どもにはかなわないなあと楽しませてもらった。

企画展はこの他にも
佐藤さんのデザインの仕事の一部を紹介した展示
「佐藤卓のデザインの採集」
(デザインに至る考え方も展示されていて、
それが面白い)
Spice
(エスビー食品 スパイス&ハーブ シリーズ 2006年)


線画とは別に、子どもの絵を中心に佐藤さんが選んだ展示
「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵」
Photo
(いわさきちひろ ランドセルをしょって並んで歩く一年生 
1966年)


佐藤さんがちひろさんの絵からインスパイアされたものを、
複製画と一緒に標本箱におさめた作品の展示
「ちひろ×佐藤卓の実験室」
Photo_3
(佐藤卓 “机に向かう少年×ロッテ キシリトールガム”)

タペストリーはこの「実験室」に展示されている。
充実した展示内容で、いい時間だったなあ。
Tapestory


この美術館は、いわさきちひろさんの自宅兼アトリエ跡に
造られていて(アトリエは今でも見ることができる)、
お庭の緑や大きな窓からの自然光も心地よく、
美術館までの道のりは
「こんなところに美術館が?」と思うのだけれど、
入ってみるととても心地よいのだ。
あらためて、もっと頻繁にここを訪れようと思った。
Nakaniwa_2

Nakaniwa2_2

それともうひとつ。
ちひろさんの言葉の中に、
育児や家事、仕事にがんばっている友だちに
教えてあげたいなと思うものがあった。
Kotoba

「独身だったら気楽で、絵もバンバン描けるだろうと
考えられるけど、とんでもないですよ。
夫がいて子どもがいて、私と主人の両方の母がいて、
ごちゃごちゃのなかで私が胃の具合が悪くなって仕事を
していても、人間の感覚のバランスがとれているんです。
そのなかで絵が生まれる。
大事な人間関係を切っていくなかでは、
特に子どもの絵は描けないんじゃないかと思います。
「教育評論」(日本教職員組合)1972年11月号より」
ちひろ美術館のHPにも掲載されています)

最後に、今回の展示は、ちひろ美術館が主催する
ブロガー特別内覧週間というのに応募して運良く当選、
招待していただきました。
おかげで行きたかった企画展に行きそびれることなく、
滞ってばかりのブログも更新することができて、
とてもいい機会をいただきました。
また、写真撮影や画像をお借りすることについても
配慮していただき、本当にありがとうございました。

別の日にギャラリートークにも参加させていただいたので、
少し追加レポートを書かせていただきました。
ご興味のあるかたはどうぞ。
(ここに書くと長くなり過ぎるので…)

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